造形をテーマにした卒論を書く場合
造形をテーマにした卒論は、視覚芸術やデザイン、建築、工芸などに関連する幅広い分野に適用できるテーマです。卒論を書く際には、対象となる造形の分野を明確にし、その視点から理論的・実践的な考察を深めることが重要です。以下に、造形をテーマにした卒論の進め方と構成例を紹介します。
1. 造形の定義と選定
卒論を始める際、まず「造形」の定義を明確にしておく必要があります。造形は一般的に形を作ることや形を与えることを指し、以下のような多くの分野で使われます：
美術（絵画、彫刻など）：形や構造を重視した表現方法に焦点を当てる。
建築：建物や空間のデザインにおける形態とその美的価値。
プロダクトデザイン：製品や道具の形態、機能性、美しさについての考察。
ファッションデザイン：衣服やアクセサリーにおける形態美やトレンドの変化。
工芸：手工芸や伝統的な造形技術の研究。
卒論のテーマとしては、上記の中から自分が興味を持っている造形分野を選び、研究の範囲を絞りましょう。例えば「建築における造形美」や「ファッションデザインの形態変遷」など、具体的なテーマにフォーカスすることで、深い考察が可能となります。
2. 研究の目的と視点の設定
造形をテーマにした卒論では、視点をどこに置くかが重要です。具体的な視点や目的を設定し、研究の方向性を決定します。以下のような視点が考えられます：
歴史的な視点：造形の発展や変遷を追う。例えば、特定の時代や文化圏における造形の特徴を分析する。
技術的な視点：造形を支える技術や手法に焦点を当てる。例えば、彫刻技術の進化や3Dプリンターを用いたプロダクトデザインの可能性を探る。
美的な視点：造形における美学や感覚的な価値を考察する。特定のアーティストやデザイナーの作品を深堀りする場合もあります。
社会的・文化的な視点：造形が社会や文化に与える影響を分析する。例えば、ファッションが社会的なシンボルとしての役割を果たす場合など。
テーマを絞り、研究の目的を明確に設定しましょう。目的がはっきりすると、論文の構成や進行がスムーズになります。
3. 研究の方法論
造形に関する卒論は、以下のような方法論を取り入れることができます：
文献研究：過去の研究や論文、書籍を参考にし、造形の歴史や理論的背景を調査します。美術や建築の分野では、特定の流派やスタイルについての文献が豊富にあります。
実地調査：実際にアートギャラリーや美術館、建築物を訪れ、実物を観察・分析します。視覚的なアプローチを取り入れ、作品の細部や空間構造を観察することが重要です。
制作実習：特定の技術や手法に関する実験や制作を通じて、実践的なデータを収集する方法です。例えば、特定の素材を使ったプロダクトデザインや、彫刻技法の実践的研究が考えられます。
インタビューやアンケート調査：デザイナーやアーティスト、業界の専門家へのインタビューを通じて、実務の視点や考え方を反映させることができます。
これらの方法を組み合わせて、自分の卒論に最適な研究方法を選定しましょう。
4. 卒論の構成
造形をテーマにした卒論の基本的な構成は、以下のように整理できます：
序論
研究の背景、目的、研究の重要性、対象となる造形分野の紹介。
研究の範囲と方法論の説明。
理論的背景・文献レビュー
造形に関連する過去の研究や理論的な背景の紹介。
どのような研究が既に行われているのか、そして自分の研究がその中でどのような位置を占めるのかを整理します。
分析・考察
具体的な事例や作品を取り上げ、詳細な分析を行います。
実地調査や実験結果を基に、自分の視点から考察を加えます。
結論
研究を通して得られた結果や、新たに導き出された知見をまとめます。
今後の研究課題や展望についても触れると良いでしょう。
5. 具体的なテーマ例
以下のような具体的なテーマを考えると、卒論の方向性を絞りやすくなります：
「20世紀の建築における造形美の変遷」
近代建築におけるデザイン思想と造形の変化を調べ、特に有名建築家の影響を分析します。
「日本の伝統工芸における造形の美学」
日本の伝統工芸（陶芸、漆芸、木工など）における形態美を研究し、技術的な背景や文化的な意味を探ります。
「ファッションデザインにおける造形と社会的影響」
特定のデザイナーやブランドを取り上げ、そのデザインが社会や文化に与えた影響を分析します。
「現代アートにおける造形の自由と表現」
現代アートにおける形態の自由と、アーティストが表現しようとした意図について探求します。
まとめ
造形をテーマにした卒論では、選んだ分野や視点に基づいて、深い分析と考察を行うことが求められます。理論的な背景と実践的な視点をうまく組み合わせ、自分の視点を明確にすることで、独自の卒論を完成させることができます。
